書評

書評:最高の体調(鈴木佑)(2)

書評です。最高の体調という本を読みました。
前回の記事の続きです。前回の記事はこちら

アフリカ人には未来という感覚がない

「アフリカ人の伝統的な観念によれば、時間は長い『過去』と『現在』とをもつ二次元的な現象であり、事実上『未来』を持たないのである。」という記載がある。これは正直信じがたいが、一応研究結果があるらしい。とはいえ1970年の研究なので、近代化が進んだ今はどうかわからない。

このアフリカ人の感覚は古代の狩猟民族に似ている。さらに本の記載を見る。「人類学者の見るところ、狩猟採集民はいま現在に神経を集中する。行動を決めるのは目の前の獲物であって、またの機会を待つ、あるいは、長期的な戦略に立って意思決定を下すことはない。」

つまり、目の前の課題をクリアすることでしか未来はなく、現代人のように数年先を思い描くことがないために、未来の感覚が生じないとのこと。
別の章でも記載するが、狩猟民族は「うつ」を発症することは極めて少なく、その理由が「現在」に意識をフォーカスして日々を生活していることが理由の一つ。
これを理解し考え方を取り入れることが自身の健康にも繋がると感じる。

現代の不安は時間軸が長すぎる

古代でも現代でも「不安」を感じることはあるが、「古代の不安」と「現代の不安」は性質が全く異なる。

古代の不安…密林や草原の暮らし。命を脅かす猛獣や毒を持った草が周りにはあり、さらに獲物を確実に仕留められる保証はない、そんな大きな不安がある暮らし。しかし、その代わりに対処法はシンプルで、戦うor戦わない 獲物を探しにいくか待つか、など対処の選択肢は限られている。

現代の不安…現在の仕事がうまくいっていない場合、転職、異動、とどまるの選択肢が考えられ、さらに個別の状況に当てはめて(年功序列なので我慢するのが最適or実力主義の世界に飛び込むなど)最適な解を導かないといけない。

20代の働き方、30代の働き方、老後の働き方など、年代に合わせて働き方も変えて考える必要もあり、考える要素はほぼ無限にある。

上記のように「不安」の時間軸は古代と現代で大きく異なっている。古代では目の前のことを全力で取り組み、成功することによって未来が見えてくるが、現代では1つのタスクを成功したとしても未来が見えづらい。これは、古代は「はっきりとした不安」と言え、現代は「漠然とした不安」と言える。

では、漠然とした不安は何が問題なのだろうか。「漠然とした不安」は脳のパフォーマンスを低下させるのだ。
「不安」とは脳のアラームであり、古代では「草が動いたのは奥に獣がいるのではないか?」「この葉っぱは毒があるのではないか?」など、正体が明らかでない事象に対して生存の危機を察知し、事前に対策をとれるようになるなど、プラスに働くことが多かった。

しかし、現代では刺激や考えることが多すぎるなど古代での危険とは質が違う。常に頭の中のアラームが誤作動を起こし、鳴りっぱなしになることによって脳はパフォーマンスを低下させる。

古代では気を配れる人や神経質な人が力を発揮できた環境に対して、現代では力を発揮しすぎて脳が疲弊し体調を崩すのだと感じた。脳は不安に対して意識を集中させ、身体に準備を取らせるということを理解し、意識的に脳と身体を休ませる必要がある。

まとめ

自分は神経質なタイプで、外界からの刺激が弱いタイプ。気温差でも身体に不調が出るし、ちょっとした人間関係の問題でも身体に不調が出る。
ずっとなんでだろうと思っていて、ストレスを感じにくい人が羨ましかったりしたのだが、狩猟生活時代では大事な能力の一つだったということが分かった。

ただその能力があって、現代の生活にミスマッチなだけ、という事実が分かっただけでも心が少し軽くなった。ミスマッチの部分を認識し、適切な対処をすることによって今までより生きやすくなるのではないかなと思う。

今までなんとなく感じていた疑問や不安が言語化出来るようになったので、この本を読んでよかった。デリケートな人や自律神経が弱めで、身体に不調が出やすい方にお勧めの本です。リンク貼っておきますのでぜひどうぞ。